【江戸時代】庶民の暮らしを知るための基礎知識

知っておきたい江戸時代の基礎知識
お悩みひつじ

江戸時代って今といろいろ違っているよね。基本となる知識をおさえておきたいな

そんな方に向けて江戸時代の人々の暮らしを知るために、押さえておきたい基礎知識を紹介します。

当ブログでは古文書・くずし字、浮世絵、古地図を楽しむために役立つ情報をお届けしていますが、そのほかの学習や創作などにもお役に立つ情報だと思います。

江戸時代を知るにあたって知っておきたい、下記の基本知識をまとめました。

  • 江戸時代の将軍と簡易年表で時代の流れをつかむ
  • 江戸時代に使用していた不定時法について
  • 江戸時代の単位について

簡易なものですが、まずは江戸時代の全体像をざっくりとつかんでおきましょう。

目次

【江戸時代】庶民の暮らしを知るための基礎知識

江戸時代といっても、徳川家康が幕府を樹立してから明治になるまで、約270年ほどの長い期間になります。

私たちが暮らしている現代社会は特に時流の移り変わりが早いとはいえ、当時も「江戸時代」と簡単にひとくくりにできないほど、各年代の特色があり流行がありました。それに伴って生活スタイル、食事、芸能文化なども変化していっています。

お悩みひつじ

江戸時代といっても、その間にいろんな変化があるんだね

簡易年表で江戸時代の流れをつかむ

江戸の基礎知識、簡易年表

江戸時代を前期・中期・後期、幕末に分けて、その年代の特色と共にまとめてみました。

まずは全体のおおまかな流れをつかみましょう。

江戸時代の簡易年表

元号(西暦)主な出来事
前期
慶長(1603年)
元和(1615年)
寛永(1624年)
正保(1644年)
慶安(1648年)
承応(1652年)
明暦(1655年)
万治(1658年)
寛文(1661年)
延宝(1673年)
天和(1681年)
貞享(1684年)
・江戸幕府誕生
・島原の乱
・慶安の変
・明暦の大火
中期元禄(1688年)
宝永(1704年)
正徳(1711年)
享保(1716年)
元文(1736年
寛延(1741年)
宝暦(1744年)
明和(1768年
安永(1772年)
天明(1781年)
寛政(1789年)
・生類憐みの令
・享保の改革
・寛政の改革
後期享和(1801年)
文化(1804年)
文政(1818年)
天保(1830年)
弘化(1844年)

幕末嘉永(1848年)
安政(1854年)
万延(1860年)
文久(1861年)
元治(1864年)
慶応(1865年)
・黒船来航
※前期、中期、後期、幕末の区分は諸説あります

江戸時代前期

江戸幕府の体制が確立されていく時期。戦国時代の流れがまだ色濃く残る初期は、社会全体が不安定で浪人(仕官先がない武士)も多く、江戸の町の治安もあまりよくありませんでした。浪人たちを集めて幕府転覆を企んだ由井正雪らによる「慶安の変」もその表れです。また、寛永14年(1637)に起こった「島原の乱」が直接のきっかけとなって鎖国政策がとられることに。明暦3年1月に発生した「明暦の大火」では江戸市中の大半が炎上し、江戸城の天守閣も焼失。江戸の町の復興を優先するため、その後も天守閣は再建されませんでした。

江戸時代中期

経済が急成長し、物流が盛んになったことで江戸は一大都市となりました。五代将軍・綱吉が行なった悪法で名高い「生類憐みの令」ですが、捨て子や捨て老人などを保護する目的もあったとして近年は評価が高まっています。しかし、やがて鉱山開発による金・銀・銅が枯渇しはじめるように。幕府の財政を立て直すために、八代将軍・吉宗による倹約を旨とする「享保の改革」が行なわれます。また、九代将軍・家重の時代には、老中・田沼意次による商業重視の政策がとられましたが、その後田沼は失脚。田沼政治を批判した松平定信による「寛政の改革」が始まりました。

江戸時代後期

江戸時代の江戸という都市がもっとも華やかに息づいたのが、江戸時代後期です。十一代将軍・家斉の治世である文化、文政期(化政期とも呼ぶ)は、幕府財政も潤いました。上方ではなく江戸発信で浮世絵や草双紙が多量に摺られ、鮨や天ぷら、鰻などの食文化も発達。現代の時代劇などでもよく舞台になるため、私たちがイメージする江戸時代はこの文化文政期あたりのことでしょう。しかし、農村では貧富の差が激しくなり一揆が頻発。この状況を見かねた大阪の役人・大塩平八郎が起こしたのが「大塩平八郎の乱」です。そこで、家斉の死後、老中の水野忠邦が「天保の改革」を行なっています。

江戸時代・幕末

一般的に黒船が来航して以降を「幕末」と呼びます。1853年に続き、1854年に軍艦7隻を率いて来航し、強行に開国を迫るペリーに幕府は「日米和親条約」を締結。下田と箱館を開いたことで、鎖国政策は終わりました。1858年に、アメリカ総領事として来日していたハリスに強く要求され、「日米修好通商条約」を結んだ井伊直弼は、朝廷の許可を得なかったことで過激化した尊王攘夷派により江戸城の桜田門へ登城の際に暗殺されてしまいます。その後1866年に、倒幕運動を開始した長州と薩摩が手を結びました(薩長同盟)。15代将軍・慶喜は政権を返上する大政奉還を行ない、これにより270年近く続いた徳川幕府に終止符が打たれることとなりました。

江戸時代に使用していた不定時法について

江戸の基礎知識、江戸の不定時法について

江戸時代の時刻には、時の長さが固定された現代の「定時法」とは違い、「不定時法」が用いられていました。

不定時法=日の出から日没までを基準とする時刻制度のこと。一刻の長さが夜と昼で変わり、季節に合わせて変動する。

江戸時代の不定時報を詳しく説明すると、一日を昼夜に分けて、それぞれを六等分ずつ、十二に分けます。十二等分した長さが一刻(現在の約2時間)となり、これに十二支をあてはめて「丑の刻」などと呼びました。現在の「午後」というのは「丑の刻」の名残りからです。

さらにこの「一刻(いっこく)」を4つに分けて、「丑三つ時」などと言ったりします。これは丑の刻になってから三つ目、すなわち午前2時から2時半までということになります。

また時刻の数え方も九つ~四つまで数字を減らして繰り返します。数字だけだと夜か昼かわからないので、「夜の九つ」、「明け六つ」などと区別していました。

江戸時代の単位について

江戸の基礎知識、江戸の単位について

大宝元年の大宝律令以降、日本では「尺」「貫」を用いる尺貫法が広く使われてきました。

長さは「尺」、質量は「貫」を基本の単位とします。

度(長さ)の単位

単位換算
厘(りん)約0.3㎜
分(ぶ)1分=10厘約3㎜
寸(すん)1寸=10分約3㎝
尺(しゃく)1尺=10寸約30.3㎝
丈(じょう)1丈=10尺約3m
間(げん)1間=6尺約1.8m
町(ちょう)1町=60間約109m
里(り)1里=36町約3,927m

量(容積)の単位

単位換算
才(さい)約1.8㎖
勺(しゃく)1勺=10才約18㎖
合(ごう)1合=10勺約180㎖
升(しょう)1升=10合約1.8ℓ
斗(と)1斗=10升約18ℓ
石(こく)1石=10斗約180ℓ

衡(重さ)の単位

単位換算
厘(りん)約0.0375g
分(ぶん)1分=10厘約0.375g
匁(もんめ)1匁=10分約3.75g
斤(きん)1斤=160匁約600g
貫(かん)1貫=1,000匁約3,750g

※明治以降、尺貫法とメートル法が併用されるようになり、昭和26年(1951)の旧計量法の制定によって、尺貫法は廃止されました。

まとめ:基礎知識を手がかりに江戸時代を読み解こう

江戸時代は、約270年にわたって続いて来ました。

その中では政治的、文化的な移ろいがあり、それに伴って庶民の暮らしも変わってきました。

この記事でご紹介した部分はほんのわずかにしか過ぎませんが、まずはざっくりと掴んでから学習に役立ててくださいね。

古文書・くずし字に興味のある方は、下記の「【超初心者向け】古文書読解のロードマップ」もおすすめです。ぜひあわせてご覧ください。

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それでは、また次の記事でお会いしましょう!

ちょこっとコラム

石田三成の家臣の娘に、おあむという人がいました。彼女は石田三成が徳川家康と戦った関ヶ原の戦いの際に大垣城に籠り、他の女性たちと一緒に敵将の首にお歯黒をつける作業をしたり(※)、目の前で13歳の弟が撃たれて殺されるのを見たりと、バリバリに戦国時代を生き抜いてきた女性です。

このおあむさんが年老いてから(江戸時代前期頃)、「自分が若い頃は、着る物も13歳から17歳まで同じ帷子(かたびら/単の簡素な着物)一枚だった。昼飯も夜食などもなかった。しかし、今の人々は好き嫌いをするなど食べるものも着るものも贅沢になっていてけしからん」といった説教をしていたという記録が残っています(「おあむ物語」より)。

つまり、戦国時代末期には1日2食だったのが、江戸時代前期にかけて朝昼晩の1日3食(場合によっては夕飯の後に夜食を食べるよう)になったり、ずっと同じ着物一枚で過ごすということもなく、随分暮らしぶりは豊かに落ち着いてきていることがわかります(そして、「今どきの若者は~」と説教する人は昔からいた、ということも……)。

小波

数十年の間にも大きな変化があります。こういうところにも、歴史の面白さがつまっていますね。

(※)お歯黒付きの武将のほうが身分が高いと判断されるため、恩賞のためにお歯黒付きの首を作っていました。

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