くずし字を読んでみたいけれど、ネットでどんな古文書が見られるのか知りたいな~
そんな古文書ビギナーの方に向けて、ネットで探せる読みやすい古文書を集めてみました。
もちろんこれですべてでは決してありません。しかし、まずはどんな古文書があるんだろうと思われている方の参考になれば幸いです。
興味をもった古文書があれば、そこを手掛かりにご自分でもどんどん探してみてください。古文書がたくさん読めるサイトの紹介もしておきますね◎
※当ブログに掲載の古文書画像は著作権フリーのものです。
古文書はどんな種類がある?初心者がトライしやすいテキストはこれ◎
いきなりネットで古文書を探すのは、初心者にとっては難しいと思います。
まず難易度がわからないし、なんとか頑張って読めたとしても、一体これはどういう意味なんだ…?と途方にくれることも。
古文書は、文字を読むだけではなくその背景の事情などが分からなければ内容を理解することはできません。
たとえば、現代のビジネス文書にしても、どういう会社がどういう取引先に出しているのか、これはどこまで切実な問題なのか、どんな立場の人が出しているのか、使われている専門用語は……などなど、詳細が分からなければ、文字が読めても正確な内容まで分からないこともあるでしょう。それと同じです。
とはいえ、それでひるんでしまう必要はありません。
最初は内容が簡単で読みやすい文字からスタートして、少しずつ型を覚えていくというのがセオリーです。
この記事でピックアップした古文書を眺めながら、気になるものがあればぜひトライしてみてください。
独学で読んでみたいという方は下記のおすすめ本の記事もご参考に。
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明治時代に書かれたもの
こちらは明治19年に出版された、「かなづかひ教科書」。
まったくの初心者の方には、明治時代に書かれたものからスタートするという方法もありだと思います。実際に、私はこういった明治時代に書かれたものからスタートすることで、変体仮名に早くなじむことができました。
ここに挙げたのは、明治時代の本。ぎりぎり変体仮名も残りつつ、現代人が読んでもなんとか分かりそうなラインですよね。内容もちょうど当時のかなづかいについて書かれているので、特別な知識も必要ありません。現代では使用しなくなったいくつかの変体仮名さえ覚えれば、案外早く読めると思います。
全文は下記でご覧になれます。
え~、明治時代の本? これも古文書なの?
おっと、そんな声も聞こえてきそうですね。古文書の定義については下記にまとめました。
本来、歴史学的には古文書というのは、特定の対象に意志をもって伝えるために書かれたものになります。つまり、書状や訴状といったもの。
個人の日記や大福帳といったものは、古記録と呼びます。また、「源氏物語」や和歌、俳句といったものも、文学作品であって、古文書ではありません。
しかし、一般的にはおよそ「昔に書かれたもの」をすべて古文書と読んでいる場合が多く、くずし字の入門書などでも古記録や文学、教科書なども含めて、広く「古文書」として取り扱っている場合が多いのです。
ですので、当ブログでもそのように広義の意味で古文書をあつかっていると思ってください。
江戸時代後期~幕末の浮世絵
絵が好きな方は、浮世絵に添えられた文章にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
これは、歌川国芳が描いたとっても面白い一枚。裸の人たちがよってたかって大きな人のカタチを作り上げていますね。有名な絵なので、ご存知の方も多いでしょう。
しかし添えられた文章まで読んでみたという方は少ないのではないでしょうか。
実際にこの国芳の絵の文章を読んでみようという記事を作りましたので、詳しくは「くずし字が読めない?初心者が読めるようになるたった一つのコツ!」をぜひご覧ください。
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添えられた文章が読めるようになると、もっと浮世絵鑑賞の楽しみが広がっていきますよ。
東京富士美術館のものを使用させていただきました(利用制限なし)。
この浮世絵は江戸時代後期~幕末の往来物
お次は江戸時代の子供たちが勉強した教科書「往来物(おうらいもの)」から『諸国名山往来』。
作者はなんと十返舎一九。そう、『東海道中膝栗毛』でお馴染みのお江戸の人気作家です。
内容も日本全国の有名な山を紹介しているものなので、あなたのご近所の山や地名が出て来るかもしれません。ちょっと親近感がわきませんか?
う~~ん、太い漢字がぎっしり詰まっていてちょっと難しそう…と思った方も、大丈夫です。
よくご覧ください、右側にすべて読み仮名がふってありますよ◎
こういった江戸時代の教科書は『往来物』といって、当時の子供たちが寺子屋で勉強する際に使われていました。だから私たち、くずし字一年生にとっても心強い教科書となるのです。
全文は下記でご覧になれます。
江戸時代後期~幕末の草双紙
お次は、私のイチオシ、江戸時代の草双紙などはいかがでしょうか。
これは、江戸時代の人気戯作者(娯楽小説の作者)だった山東京伝の『箱入娘面屋人魚』という作品です。
黄表紙というジャンルになるのですが、びっくりするほど荒唐無稽で面白い展開なのが特徴。江戸時代の人もこんな馬鹿々々しい物語を楽しんでいたんだな、と思わずこちらもくすくすと笑ってしまいます。
内容はというと、かの浦島太郎が竜宮城の乙姫に内緒で鯉の遊女と浮気。その鯉との間に生まれた人魚の物語です。さえない貧乏な漁師の妻になったものの、けなげな人魚は夫のためにお金を稼ごうと吉原の花魁になろうとしますが……。江戸時代の人魚の姿にも注目です。
今までのものと比べると、小さな字がびっしりつまっていて読みにくそうですが、平仮名が中心なのでそこまで難しくはないはず…。数ページがんばって読めばきっと少しずつ慣れてくるでしょう。
気になる方はぜひ下記から全文を読んでみてください。
全文は下記でご覧になれます。
江戸時代後期~幕末の離縁状
江戸時代、庶民の夫婦が離婚の際に夫から妻にわたした離婚確認書・離縁状も、古文書の入門書ではよく取り上げられます。
実物はこちらをご覧ください。→群馬県立文書館「三くだり半の離縁状」
離縁状は、夫から妻に一方的に渡されるという場合だけでなく、妻の望みで夫が出すこともありました。別名「去状(さりじょう)」とも「三行半(みくだりはん)」ともいいます。
「三下り半」と言われる由縁は、基本的に文章が三行半で終わるからです。
離縁状の実物を見ると、いかにも難しそうに思えますが、これも契約書なので決まった型があります。その基本形を覚えてしまうこと、そして平仮名と同じく頻出する漢字を覚えてしまうことが大事です。
頻出する漢字とは、「御」「候」「之」などですね。
まずはクイズのように、この漢字を探していくところから解読を進めていきましょう。
私がこの方法で離縁状を読んでみたという実体験は下記の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
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ユーキャンの古文書講座を体験
古文書が探せるサイト紹介
今回、ご紹介したサイトを再度掲載します。
そのほか、下記の古文書サイトもおすすめです。
大阪府立図書館はYouTubeで古文書解説を行なっています
ほかにもまだまだたくさんありますので、随時追加していきます、
まとめ:目標を決めて古文書を楽しんでいきましょう!
以上、古文書ビギナーがトライしやすい種類の古文書を紹介しました。
もちろん、古文書はこれだけではありません。この記事が、あなたの読みたいもの、挑戦してみたいものを探すきっかけになればうれしいと思っています。
なお、古文書・くずし字を読めるようになってみたいという方には、「【超初心者向け】古文書解読のためのロードマップ」という記事もおすすめです。古文書を読む前の基礎知識や独学法、おすすめの入門書、講座などを紹介していますよ。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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